AAJUG「Alexa でゲームをつくる」が期待以上に勉強になった(2)
AAJUG「Alexa でゲームをつくる」が期待以上に勉強になった(1) の続き。
Contents
Alexaゲームスキル作成の勘所
ゲームを楽しむために大事なこと
- リアルタイム性の追求
- 没入感の向上
作った人
これを作ったのは、視覚障害のある学生さんチーム。
視覚に頼らないからこその勘所は、とても勉強になり、同時に忘れてはいけないものだと、深く感じました。
スキルの詳細
Audio Labyrinth という、迷路形式の脱出ゲーム。
ストーリーモードや探索モードを選べたり、チュートリアル、初級、中級、上級を選べたり、中々手の込んだスキルです。サウンドプレイモードではプレイ中の効果音を聞くことが出来ます。
クリアした時には、歩いた歩数や残りライフ、かかった時間などを教えてくれるので、次はもっと速くクリアしよう!と思えるような仕掛けもありました。
VUI と GUI の比較
単位時間あたりの情報量
VUI は GUI よりも、単位時間あたりの情報量が少なくなりがち。
つまり、情報が得られる速度に圧倒的な差があるということ。これによって、リアルタイム性を損なってしまう。
没入感の低下
VUI は受動的、GUI は能動的。
VUI は拾い読みができず、ピンポイントで知りたいことの情報を得られない。
例えば、ゲームで現在のステータスを知りたい場合、画面だとハートの数やアイコンなどでひと目で分かる様になっているが、音声だけだと順番に伝えるだけで、ニュアンスが伝わりづらい。
これによって、没入感が低下してしまう。
強調や引用
GUI だと、画像を大きくしたり色を変えることで強調できるが、VUI は分かりづらい。
強調や引用を伝える手段が必要。
情報へのアクセス
GUI はランダムアクセス、VUI はシリアル。
VUI だと、毎回説明文言が入って冗長になりがち。
開始するには「スタート」、ルールを聞くには「ヘルプ」と言ってください
何回も聞いていると、「もうわかってるわ!」となりますよね。
Audio Labyrinth~脱出ゲーム~の事例
言い回しの工夫
モードは、イージー、普通、上級、どれにしますか?
これを、統一された言い回しで、親しみやすくフレンドリーに改善。
モードは、初級、中級、上級、どれにする?
既知の情報はヘルプインテントへ
毎回使うたびに、ルールや使い方を伝えるのは、冗長になってしまう。そんな時は、初回起動時だけ言うようにする。
つまり、伝えることはその時必要なことのみ最小限に絞って、分からなくなったらヘルプを呼び出すという作りにしておくということ。
場面ごとにヘルプインテントに設定するフィードバックを変えておけば、これを実現することができる。
このスキルでは、スキル熟練度に応じて、徐々にヘルプインテント依存型にシフトしている。
効果音の工夫
決定、キャンセルなどは専用の効果音にして、時間を短縮している。
他にも、各障害物にはイメージしやすい音をつけている。
看板:重厚そうな音
池:池に石が投げ込まれたような音
マンホール:地下に水が反響しているような音
通れる道:風が通り抜けているイメージの音
効果音の前後の不要な無音部分はカットする。
効果音の間に間隔があきすぎていると、リアルタイム性が損なわれてイライラが増してしまう。
豊かな表現
SSML で声を高くしたり低くしたり、Speechcon で感情豊かにする。
普通の Alexa の声と、Speechcon で比較すると、「お疲れ様でした」というセリフが圧倒的に違いましたw
シナリオの伝え方
GUI で見る小説風のシナリオをそのまま Alexa に喋らせてしまうと、色んな問題がある。
- 登場人物の違いが見えず、誰が言っているのかがわかりにくい
- セリフ部分と情景描写の区別がつきにくい
- 起伏がない
これを以下のように改善。
- クラクションなど効果音を利用
- 男性、女性の声で掛け合いにする
- 情景描写は男性の心の声にして、低めの語り口調にしている
Amazon Polly という音声合成サービスを使えば、日本語だと Mizuki(女性)とTakumi(男性)の2種類の声を使うことができます。
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