勇者はUXデザインから生まれる?人生の大切なことをゲームから学ぶ展【レポート】
GOOD DESIGN MARUNOUCHIにて2024/3/15〜4/14で開催のこちら。
勇者はUXデザインから生まれる?
人生の大切なことをゲームから学ぶ展
タイトルだけで十分面白い。
実際私もゲームから学んだことはたくさんあります。なんなら、ゲームのおかげで今の私があると言っても過言ではない。それほど影響力の大きいゲームという存在。
今回はそんなゲームに焦点を当てた展示を見てきました。
出典:https://marunouchi.g-mark.org/exhibition.html
展示構成はこちら。
A:ゲームから得られる人生の学び8つとは?
B:ゲームにデザインされたUXデザインとは?
C:人生の学びが得られる本イベントオリジナルゲーム8台
D:ゲームから学んだ人生の大切なこと調査 報告
E:ゲームデザイナー、UXデザイナーによるゲームデザインインタビュー
F:あなたの人生におけるマイフェイバリットゲーム投票
狭い会場ですが、壁に専門家の意見など読み物が書かれており、真ん中にはででーんとゲームの筐体が8台。アーケードゲームで、コントローラーも赤いスティックとボタンが数個。
私は家庭用ゲーム機派でしたが、アーケードゲーム好きな人にはたまらないのでは?!
ゲームを通じた体験のデザイン。
もちろんビジュアルデザインは必要ですが、ゲームを通してプレイヤーがどのような体験をするかを考えることはゲームの肝と言っても過言ではありません。
実生活では経験できないような挑戦をゲームを通して擬似体験し、一緒に障害を乗り越える中で、次はどうしようかと試行錯誤する。楽しいだけでなく、そこから学ぶこともたくさんありました。
ゲームから得られる学びを8つ取り上げて分類されていました。そして、それぞれの学びを、実際にアーケードゲームで体験できる、という素晴らしい構成。読み物を読んで、ふむふむ、と思うだけでなく、体験して腹落ちすることができるので、記憶にも残りやすい。
- 成長
- 勝利
- 仲間
- 困難
- お金
- 挑戦
- 時間
- 考え方
それぞれのゲームはシンプルで、長くても数分で終わるものばかり。
こちらはMONSTER REVENGEという仲間に関する学びをテーマにしたゲーム。
まずは仲間を4つ選んで…
あとは闘うだけ。
最後に「強さよりも相性で仲間を選べ」という学びが書かれていて、確かに実生活でも相性って大事だよなと思わされました。
ちなみに、これ私はクリアできなかったんですけど(笑)どの組み合わせならクリアできるのか、クリアした人いらっしゃったら教えてください(笑)
他にも、賞金はあがるけどどんどん難しくなっていくゲームだったり…(クイズミリオネアもそうですね)
何度も繰り返してコツを掴んでいくマリオのようなゲームだったり。
「成長」に関する学び --「めざせ!カンフーマスター」
「成長」に関する学びをテーマにした横スクロールアクションゲーム。功夫の達人を目指す青年の修行を通じて、失敗と成功を繰り返して自身の成長を実感します。果たしてあなたは達人になることができるのか?「勝利」に関する学び --「駆け引きボクシング」
「勝利」に関する学びをテーマにした対戦型カードゲーム。あなたはボクサーとなり4種類のパンチを駆使してチャンピオンを目指す。勝つためには相手の心理を読み取り最適なパンチを繰り出せるかがカギ。「仲間」に関する学び --「MONSTER REVENGE」
「仲間」に関する学びをテーマにした仲間選びアドベンチャーゲーム。母親の敵討ち、大猿へのリベンジに燃える子ガニとなって見事復讐を果たせ!選んだ仲間の組み合わせによって勝敗が決まります。「困難」に関する学び --「ASTRO SURVIVOR」
「困難」な状況に関する学びをテーマにしたプラットフォーム・アクションゲーム。主人公はある星に墜落したロケットからの脱出を目指して暗い船内の中を彷徨う…。突破口を見つけ出しゴールを目指せ!「お金」に関する学び --「GOLD RUSH」
「お金」に関する学びをテーマにした縦スクロールシューティング。舞台は1850年アメリカ西部開拓時代。ゴールドラッシュに沸くテキサスタウンを襲撃したUFOに対抗するための装備を買って戦いに挑め!「挑戦」に関する学び --「DEAD or ALIVE」
「挑戦」に関する学びをテーマにしたアクションゲーム。謎多きダンジョンを舞台により多くの財宝を集めて無事に生還することが目的。果たしてあなたは、欲望に負けず全てを手に入れることができるのか?「時間」に関する学び --「時は金なり地獄連打」
「時間」の大切さをテーマにした連射測定ゲーム。さぼるのが大好きな「かねなり君」はある日地獄に連れてこられてしまった!人間界へ戻るためには与えられた時間内でボタンを連打しなければいけない!「考え方」に関する学び --「勇者コマンド その選択が伝説になる」
「考え方」に関する学びをテーマにしたRPG風アドベンチャーゲーム。場面は勇者と魔王の最終決戦!しかし、剣を抜くことだけが正しいのだろうか?どんな選択をするのか、あなたの戦い方次第で結末が変わる!
こちらは「ゲームから学んだ人生の大切なこと」調査結果。500名におよぶアンケートを行なったとのこと。
「人生の学びを得た」と答えたのは63%。
学びを得たゲームジャンル、トップはロールプレイングゲーム。
ゲームから得た学びは、
- 困難は克服することができる 161人
- 失敗から得るものがある 147人
- 努力は報われる 107人
ゲームに仕組まれた裏ワザ8つは、確かにあの作品にもあったな、と思わされるものばかり。
そして専門家インタビュー。
この中から、印象的だった言葉をピックアップして、締めくくります。
ユーザーの頭の中や行動パターンを想像しながら、必要となる機能やデザインを施していったのです。そうすることで私たちが得られるようになったのが、わからなかった操作や用語が次第にわかるようになってくる成長と、実際に商品の購入を達成することができる成功体験というわけです。(富樫佳織さん)
できないからできるへ、わからないからわかるへ、架け橋として私たちを導いてくれるのがUX(富樫佳織さん)
冒険をし、失敗から学び、仲間を作り、成長して、ゴールへ向かう。まさしく UXな仕掛けが、ゲームには多分に含まれていると思います。もしもゲームに UX的な考え方がなかったら、到底クリア不可能な作品ばかりがあふれてしまうかもしれませんね。(富樫佳織さん)
今でこそ、UXは比較的新しい考え方としてできれば取り入れていくべきという扱われ方をされていますが、近い将来には、あって当たり前、無い方がおかしいといった扱われ方をされていくのではないでしょうか。UXを誰も意識しなくなる時こそが、UXが目指すべきゴールと言えるのかも(富樫佳織さん)
人間には“生存に有利に働く訓練を面白いと感じる”機能が備わっていると考えています。<中略> ゲームの場合、根本にあるのは“限られた時間の中で、自分の状況を把握し、次に何をやるかを考えて実行する”ことです。そして、行動することによって状況が変わるので、また次の行動を考える…ということを繰り返していきます。この一連の流れは、生きることそのものと言っても過言ではありません(中津基貴さん)
こうした生きるための訓練を、私たちはゲームを通じて無意識に行っている。そう考えると、ゲームで遊ぶことを面白いと感じるのは、むしろ人として当たり前のことと言えるかもしれません(中津基貴さん)
主体的に取り組むゲームには、他のメディアでは味わうことができない種類の没入感があり、そこでしか得られない体験があります。(中津基貴さん)
私たちゲーム制作者も、科学的な発見や具体的なテクノロジーに対してアンテナを高く張り、それをどう楽しい訓練へと昇華させていくのかを考えていかなければなりません(中津基貴さん)
プレイヤーはこの敵といつどのタイミングで対時するのか、そして対時した際にどのような気持ちになってほしいのか、というのはかなり意識しますね.例えば強力な敵キャラクターを出すにしても、プレイヤーに無力感を味わってもらいたい場合と、それを倒すことで成長を実感して欲しい場合とでは、あるべき敵の姿も変わってきます(安明真哉さん)
業界特有の言葉でゲームフィールというものがあるのですが、これは要約するとゲームのさわり心地のこと。ストーリーや映像とも異なる、さわっていること、プレイしていること自体の楽しさすらも考えてデザインする。(安明真哉さん)
何よりもその商品やサービスを使ったり受けたりする際に、楽しいと感じられるものだと思います。しかし実は、この楽しいこそが結構なくせ者。<中略>人の琴線というのは多様であり、心を動かされるポイントもさまざまです。そうした一人ひとり異なる課題を乗り越え、ユーザーの持つ期待値を超えることで、初めて感動を生むことができるのです。(クラー加奈恵さん)
UXには「UXハニカム」と呼ばれる概念があり、そこでは「使いやすい」「好ましい」といった6つの要素を満たすことで価値ある体験となると定義されているのですが、人気のあるゲームは大抵これらの要素を満たせているように思います。(クラー加奈恵さん)
機械の判断基準はあくまでもロジックです。私たち人間には感情があり、それはロジックで読み解けるほど単純なものではありません。だからこそ同じ人間のアイデアや情熱が必要不可欠であり、技術が発達すればするほどもっと人の心に寄り添ったモノづくりが求められ、人の心をどう動かすかが追求されていくのではないでしょうか。UXの未来は、もしかすると今以上に人間味にあふれた世界かもしれませんね。(クラー加奈恵さん)
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