IPAが定めるUXデザイナーの定義に絶望した話
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定める、「DX人材の定義」を見て、度肝を抜かれました。
こちらの「サマリー版」を見ると、UXデザイナーがこんな風に定義されていたのです。
DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材
・・・。
これじゃいかんよ、IPA…。
これを見た瞬間、世の中のUXに対する理解の低さに幻滅しました。IPAですら、こんな定義をしてしまうなんて…。もう手遅れなのではないかと思ってしまうほどに。
なお、この内容は以下に記事としてもまとめられていますが、ここでも、UIデザイナー、Webデザイナーに求められるスキルと同じ、と書かれていました。
何が間違っているのか?
まず、この内容は「DX人材」という前提があるため、「DXやデジタルビジネスに関するシステム」という点は、限定的な表現としてはいいでしょう。(本来のUXデザインはデジタルソリューションに限りませんが)
問題は、「ユーザー向けデザインを担当」という箇所。明らかに、言葉が足りなさすぎです。
「ユーザー向け」とは
本来、UXデザインの U(User=ユーザー)とは、広義では E(Employee=従業員)や C(Customer=顧客)も含みます。
この資料には「ユーザー」が何を表すのかの定義は記載されていませんが、DXの取り組みとして「業務の効率化による生産性の向上」があげられていることを考慮すると、社内システムも含んでいることと思います。つまり、システムの利用者=ユーザーには、確実に E(Employee=従業員)も含まれることと思います。
ですが、「ユーザー向けデザイン」という記載では、なかなかそこまで伝わらないでしょう。「一般的な消費者」という認識になってしまう可能性があります。
「デザインを担当」とは
こちらの方が重症です。
「Design」を「デザイン」と訳して、定義で利用するのは、言語化を怠けているのではないか。
「UXデザイン」なのですから、「体験デザイン」と書かれているならまだしも、「体験」という言葉は一言も登場せず、「デザイン」とだけ書いてあります。「デザイン」と聞いて、何を思い浮かべるのか。どう伝わるのか。それを考えずに「デザイン」と書いてしまうのは、書いた人が理解していない可能性が非常に高い、と感じてしまいました。
design を辞書で調べると、様々な訳が出てきます。
引用:アルク
UXデザインのデザインは、決して3番の「デザインする」「図案を描く」だけにとどまる話ではありません。
視覚的なデザインだけではなく、その奥に意味づけされるあらゆる要素、すべてを「デザインする」のです。「設計する」や「考案する」「目的で作る」などの意味も含まれています。
なんなら視覚的なデザインをしない場合もあります。私が重きを置く Voice UX デザインなんて、まさにその代表格です。
勘違いを生む表現
つまり、この表現だと、「システムの見た目をデザインする人」という、非常に狭義な意味としてしか捉えられない危険性がある、ということなのです。
この現実を目の当たりにして、UXデザインの広義の意味が、いかに伝わっていないかを実感しました。
以前、こんな記事も書きました。
この記述も、世の中に誤解を生んでしまっていると感じています。(名乗っている人が理解できていない、というわけではなく、中身を知らない人が見た時に感じる印象がねじ曲がってしまう可能性がある、という意味です)
だから、UXデザインを正しく伝えたい
だから私は、UXデザインを正しく伝えなければいけないと感じたのです。
2020年11月にこの記載を知って、絶望して、このままじゃダメだと思いました。
そこから、UXデザインを正しく伝えるためにはどうすればいいのか?と考えたところ、メルマガと動画コンテンツを作成することにしました。
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3時間半の超大作になっています(笑)
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