Schoo生放送第1回のまとめとコメント

登壇情報, UX DESIGNUXデザイン, Schoo

こちらの記事でご紹介した通り、2022年1月23日に第1回のUX入門の授業を行いました。

Contents

第1回の概要

対象者

UXについてイメージを持てていない方や言葉に置いていかれたくない方

ゴール

UXの意味を理解し、イメージできるようになるとともに、身近なUXについて語れるようになる

目次

  1. UXデザインの定義
  2. UXデザインの使命
  3. ユーザーとは
  4. 体験とは
  5. デザインとは
  6. UIとUXの違い

全体像

私がお伝えするまでもなく、受講生の方の中で、グラフィックレコーディング(グラレコ)を描いてくださった方がいらっしゃいました!(大きい画像で見る)

本当に嬉しい限りです。これを見ればどんな話をしたか分かりやすいですね。助かります!

当日の参加者

Schooでは事前に「受けたい」という意思表明として、「受講予約」ができます。

この第1回の受講予約は709人でした。

そして実際の受講者数は437人だったようです。

なんと半数以上の方が参加いただいていたなんて…!!ありがとうございました。

質問・コメント

その中で出た質問やコメントに、この場で答えていこうと思います。(Q→質問、C→コメント)

Q. ユーザーの変化は数値化して測れるのか?

「ユーザーの変化」、つまり「UXデザインを行った効果」をどうやって測るかを定義するのもUXデザインのうちなんですよね。

そのためには、チームが、会社が、事業が、個人が、「このアウトプットを届けた結果、何をもって成功とするのか」を、一番最初に定義することが必要です。

それが数値であることが多いですが、必ずしも数値ではなく、定性的な場合もあります。

例えば誰か1人を喜ばせることがゴールであれば、その人の表情やその後の振る舞いを見ることで判断できる場合もありますよね。

実際にどんな数値的な指標があるのかは、こちらの記事が参考になると思います。

Q. UXとは、連絡手段が電話が主流だった時代にメールで初めて触れた時に、いやいや電話の方が早いでしょうと思っていたのにいつの間にやらメールが主流になったということか?

それもひとつの結果です。

ただ、その状況に応じて、何が一番適しているのかは異なります。

早さを求めるのか、証跡を残したいのか、単純な内容を伝えたいのか、複雑な内容を伝えたいのか、などなど。場合によってよりよい体験が異なるからこそ、メールが主流の今でも、電話もひとつの手段として使われているということですね。

C. 例えば友達の誕生会とかはUXデザインの集まり

ほんとそうなんですよね!この例でいうと、「誕生日を迎える友達(主役)」がユーザーにあたります。そして、誕生会という場そのものや、プレゼントが、アウトプットにあたります。

UXデザイン超概論」でもプレゼントの事例を使って紹介しています。

C. 便利なのはよいけれど、倫理観とか手間を楽しむみたいな感覚も忘れずに持っておきたい

UXデザインの使命は「ユーザーにポジティブな感情を与える」ことだと言いましたが、ユーザーさえよければいい、ということでは決してありません。

ユーザー・ビジネス・テクノロジーのバランスを考える必要があります。

例えば倫理観を持ったものでなければ、ビジネスはうまくいきませんし、ユーザーが喜ぶからといってテクノロジーの実現可能性を度外視して設計したら、一向に実現できません。

手間という面だと、事例としては、ディズニーランドがあげられます。アトラクションに入るための待ち時間(3時間とか、もっと長いことも…)は、それだけ見るとネガティブにしか見えないですが、これをなくすことは現実的ではありません。その代わり、ディズニーランドは、その待ち時間を楽しませる工夫を色々施しています。

待ち時間というネガティブをどうすればポジティブに変えられるのか、解決策は様々です。待ち時間をなくすことも一案ですし、待ち時間を楽しくすることも一案なのです。

Q. ユーザーになりきって考える時のユーザーの定義・ターゲッティング自体を誤っている場合の修正のコツは?

基本的には、どんな層をターゲットにするのか(ターゲットセグメント)を決めてから、その人たちをより理解するためにペルソナを作成します。そして、そのペルソナがどのような感情でどのような行動をするのかをユーザージャーニーマップに表現し、そこから課題を見つけて、その課題に対する(もしくは期待に応える)解決策を考える、というのが基本的な流れとなっています。

この流れの中で「ユーザーになりきって考える」のは、ペルソナ作成、ユーザージャーニーマップの作成、課題の抽出、解決策の想像など、様々な場面で必要となります。

そしてこれらのステップは、前段階のアウトプットを参照して進めていくため、最初で間違っていたら当然後の工程も間違ったものになってしまいます。

ベストは、各工程ごとにインタビューや観察によって答え合わせをすることです。ですが、費用や時間の関係で全てのタイミングで実施するのは難しいのが現実でしょう。ですので、「ユーザージャーニーマップ」を作成した後にまず1回、そして解決策の簡易プロトタイプを作った後にもう1回、インタビュー・観察・ユーザーテストを実施するのが最低限かと思います。

Q. どんなデザインでも全ての人が喜ぶものを作るのは難しいと思う。ABテストなどで決めることもあるということは、ある程度多数派の意見優先ということになるのか?

テストの対象者が完全にターゲットセグメントの人ばかりであれば、多数決で決めても問題ありません。テストの対象者にセグメント外の人が含まれている場合は、そういった人たちを除外して考えます。

ターゲットはたった1人、という場合は、その人がいいかどうかで決めます(これもある意味多数決ですね)

Q. ユーザー未満は潜在顧客と考えられるか?

その認識で間違いありません。使用前(体験前)にどう接触するかによって、潜在顧客が顧客になるか否かが変わりますね。なのでユーザー未満も考慮することはとても大事です。

Q. 知人やSNS発信もUXの期間に含まれるのか?

はい、知人・SNSから得られる情報(口コミ)はまさしく利用前(体験前)の予期的UXに含まれます。知人からの話を聞いて、「あ、面白そう」と思えば、そのアウトプットに対する予期となります。

Q. 意見や要望、クレームなどを受けて改善に取り掛かることも、UXと呼べるのか

改善もUXデザインのうちに含まれます。
ターゲットセグメントが存在していて、課題・期待があるのであれば、どんな場所でもUXデザインを行うことができます。

Q. 予期的UXと一時的UXにギャップが生じたときに、ユーザーは定着せずに離反するんでしょうかね?

そのギャップがネガティブな場合・期待外れの場合はおっしゃる通り、ユーザーが定着しない可能性が高くなります。

ただ、予期的UXで期待したほどではないけれど、ある程度ユーザーのゴールが達成できる場合は、利用し続ける可能性はあります。

何かしらネガティブ面がある場合は、競合プロダクト・サービスに流れてしまう危険性があるので、一貫してポジティブな感情を与えることが大切です。

C. エレベーターの開と閉ボタンを間違えて、外に人が居たのに閉めたことが…

私も毎回間違えそうになります。そして開閉ボタンではなく、▷|◁、◁|▷ のボタンも瞬間では分かりづらいなと思っています…。

Q. ライブの後、ツイート眺めながら感傷に浸るのは、エピソード的UX、それとも、累積的UX、どちらか?

ライブの直後であればエピソード的UXになります。後日、さまざまな思い出を振り返る中にそのツイートも含まれているのであれば、累積的UXになります。

1つの体験について内省するのがエピソード的UX、多種多様な利用期間を回想するのが累積的UXです。

C. 逆にUX化してもいいシステムの切り分けが重要かもしれない。 確実にUX化した方が良さそうなのはあると思うので

まず、UX化という言葉は、正しくは「UXデザインを行う」と表現した方がよいでしょう。

その上で、「UXデザインを行った方がいいシステムの切り分け」ですが、利益などビジネス的ゴールを達成するためには、「ユーザーが使うか否かを選択できるシステム」はUXデザインを実施する意義が高いでしょう。

ただ、「ユーザーが使うか否かを選択できない(強制的に使わないといけない)システム」は、例えば社内システムなどがありますが、こちらについてはUXデザインを実施する意義がないというわけではありません。社内システムの例で言えば、社員の満足度、作業効率、モチベーションの向上に繋がる可能性があるためです。

基本的には、「UXデザインを実施してもいい」ものは、すべてのシステム(アウトプット)です。

Q. 視覚的デザインでにかぎらない、デザイン=設計 といった認識は、日本のビジネス社会においてどのくらい認知されているのか

肌感覚だと1〜2割ですかね…。本当にここは日本の大きな課題だと思っています。だからこそ、正しい意味を伝えたい、というのが私が発信する理由の1つです。

C. UXを参考にすれば、物語のデザインの参考になるかもしれない

実を言うと、私もストーリーから入りました。「神話の法則」「ヒーローズジャーニー」あたりを学んでからUXの世界に入ったので、すんなり入ってきました。

C. UXが、どうしても機能の都合を超えられない時はどのような落とし所があるのか?それとも絶対こえられるのか

「ユーザー・ビジネス・テクノロジーのバランスを考える必要がある」と書きましたが、ここはテクノロジーに当たる部分かと思います。絶対にこえられる、とは言えません。実現が不可能、もしくは可能だが難易度が高い・時間がかかるという場合は、ビジネス的にはGOサインが出しにくいでしょう。

落とし所としては、別の実現方法がないか、代替案をアイディエーションして探し出すというのが1つ。もしくは、ユーザーに多少妥協してもらうというのも、1つです。(例えば、ある部分だけ自動ではなく手動で入力してもらう、など)

Q. ペルソナ設定が正しいかどうか、判断する基準はインタビュー結果以外にはどのようなタイミングで図るのか?

こちらの回答を参照してください。

Q. サービスデザイナーはユーザーの悩みを解決するようなサービスをつくることが仕事か?

ユーザーの悩みを解決・期待に応えるようなサービスを作ることが仕事の1つです。他にも私の立場では、サービスを開発するチーム(新規事業グループなど)のゴールを導いたり、チームがうまく進めるようにファシリテーションすることもサービスデザイナーとしての私の仕事に含まれます。

Q. サービスの値段もUXに影響を与えるのか?

与えます。価格があまりにも高すぎると、ネガティブな感情(サービスからの離脱も含む)に繋がります。

C. ウォークスルー・・・システム開発の世界と意味合いが違うのか..

アプリの画面名としてのウォークスルーと、システム開発のレビューとしてのウォークスルーですね。プログラム全体を見渡すのか、アプリの使い方概要を見渡すのか、という対象の違いかと思います。

Q. UXデザインは設計する人のセンスによって結果が変わる気がする。そうならなくする工夫はあるか?

アイディエーションという解決策を考える工程では、どうしても考える人のセンスに依存する部分があります。

アイデアの幅を広げるという意味では、思考の柔軟性を身につける、客観的に俯瞰できるスキルを身につける、さまざまな分野のさまざまなアウトプットについて知る、という営みが大切になるでしょう。

つまり、自分が他の人が考えるようなアイデアも考えられるようになる、ということです。とはいえ、これはすぐに身につけられるものではありません。そこで、アイディえーションのフェーズでは、多種多様なバックグラウンドの人を集めて、チームでアイデアを出し合うといいでしょう。会社でいうと、さまざまな部署・役職・年齢の人を集めるなどです。

Q. 先生はどうやって(UXデザインの知見を)身につけたのか?

まず最初は、(UXデザインを学ぼうという目的ではありませんでしたが)ストーリーを学び、そしてデザインファームに弟子入りして実際にプロジェクトに参加し、研修的にデザインスプリントに参加し、実際に自分主体でプロジェクトを推進し、他の人に教える前提で知見をまとめ、研修講師として研修を実施し、知見・スキルを強固なものにしていきました。

C. 程度差はあれ、人類みなUXデザイナーと考えています。何かしらデザインしてるはずです

まさしく!おっしゃる通りです。

C. UI/UXを包含関係ととらえると、UXのうちUIを指しますよ、ということになってしまう

そうなんです。だからUI/UXデザイナーという肩書きだと、UIデザイナーという意味になるのです。ですが、UI/UXデザイナーという言葉の認識が企業によって異なっているので、企業によってUI/UXデザイナーに求めていることも大きく異なっています。ですから、Schooのような講師のオファーなどにおいても、私が「UI/UX」という言葉で説明を受けた場合には、その定義と相手の求めていることを確認するようにしています。

第2回は2月6日(日)21:00〜

第2回は2月6日(日)21:00〜22:00で実施します。ぜひ引き続きお越しください。

 

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